さわだなおきのちょっといい話(アメリカ篇)

さぁ、アメリカに着いたぞ!
ロスの空港からウエスト・ハリウッドにある
メトロポリタンホテルまではシャトルバスを利用。
運転手の兄ちゃんは、日系の人らしく、オレに「ニホンカラ、キマシタカ?ウレシイデスネ。」と日本語で話し掛けてきた。
「ハイ。ニホンカラ、キマシタヨ。」って何でオレまでカタコトやねん。
その兄ちゃんは親切で、ホテルに着くまで、「そこが有名なチャイニーズ・シアター」とかずっと説明してくれた。
ホテルに着いてからも、また空港に帰る時、
ここに電話してくれたら迎えにくるから、と電話番号を書いてくれたり、親切やった。
ごめんな、料金にチップ含まれてないのん知らんかってん。
だから、ホテルに着いてからもわざわざ荷物運んでくれたりしたんかなぁ。待ってたんかなぁ。まぁ、ええか。
ホテルの部屋は、ひとりには十分すぎるほど広く、カーテンを開けると、あの「HOLLYWOOD」の丘が目の前に!
気が利くやん、フロントのおっさん。
とりあえずヒマだから出かけることにした。
ハリウッドの大通りを目指してとぼとぼと歩きつづけた。お金持ちの住宅地区のようで、
アメリカンドリームな家が立ち並ぶ。地図は持ってなくて、ホテルでもらった、
なんとなく通り名が載ってるビラ一枚
初めての海外旅行で、その上一人で、地図も無く歩くオレ。
あほちゃうか
しばらく歩いていると、ふと気づいた。「ここはどこ?」
迷子になってやがんねん、オレ。とりあえず、なんとかなるやろ。
そのまま歩いていると、歩道に車がドアを空けたまま停まっている。
ドアを空けたまま、人が降りるわけでもなく、何かしてるわけでもなさそう。
横を通りすぎるその瞬間、「ガシャリ」と映画でよく聞く、銃をかまえる音とともに「HEY!」の声が。
(関係無いけどカタカナで書いたら「ヘイ」って寿司屋みたいやなぁ。ってその時はそんなのんきに思ってる場合とちゃうかったけどな。)
そいつ「こっちに来い」って言うてやがんねん。
こわいっちゅーねん。とりあえず、
英語がわからんふり、耳が聞こえないふりを装って、次の路地まで50メートル、心臓バクバクしてるけど、「後ろから撃たれたらどぉしよ。」
と思いながら何もなかったように歩きつづけた。
そしてやっと次の角に到着!
いやぁ、走った、走った、ダッシュまくり。なんかよけいに、ここどこやねんって感じの町並みが目の前に。
新聞やらゴミやら散らかってるわ、閉まってる店のシャッターや壁には、落書きされてるわでここってスラム?な雰囲気。
徹底的に迷子かいな、オレ。とにかく、どおしよかと思ってると前から大柄な黒人のおやじが歩いてきた。
2メートル前まで来たところで、オレをじっと見ながら側にあった木の
葉っぱをむしって地面に投げ捨てた。
こわいちゅーねん、第2弾。
ここからなんとか脱出しやんと、オリビアを見る前に殺されるのだけは、やめといてなってな感じや。
近くのスーパーに入り、とりあえずペプシのペットボトルを買って、そのレジの
デビーギブソン似の女の子
「オレ今どこにいてるの?」とたずねたら、
どこから来たのかとかどこへ行くのかって逆にたずねられた。先に教えろよっちゅーねん。
あっ、
なんか記憶喪失と間違えられてたみたい。デビーは冷たく町の名前を告げた。
なんとなくの地図のビラには、そんなん載ってへんやん。
とりあえず、デビーには、もう用は無い。ペプシを飲み飲み歩いていると、黒人の親子がじっと見つめている、、、
のは、
オレの目じゃなくて、ペプシ!うわぁ、命ごとペプシ奪われたらどないしよ?
とりあえず何事も無かったけど、ペプシは次のくずかごに捨てた。
ちょっと小心者?でも誰でも捨てるね。あの状況じゃ。
それにしてもなんやねん、この国はいったい??
おっ、目の前に、ビデオ屋がある。ブロックバスターや。
大手チェーンやから安心。というわけで、しばしDVDをお買い物。
そこの兄ちゃんに、ハリウッド大通までの道を聞いたら、なんと、銃を向けられた
ハートアタック通り(ってオレが名付けた)の方角を指差すではないか!!あぁ、オレ、はじめからまったく逆方向に来てたんやね。
でも、そんなん
元来た道に帰れるかっちゅーねん。車まだ停まってたらどぉすんねんな。
とりあえず、ちょっと店が並ぶ、通りを歩いた。
疲れたから、今日はホテルに帰ろか。
しゃーない、タクシーでも乗ろか。いや、タクの番号知らんなぁ。
そうやねん、オレって
思い立ったが吉日人間で、準備とか計画っていうのが無いまま行動することが多いねん。バカ?
けど、ちょっと先に病院があることに気が付いた。
そこやったらタク居るやん、オレって頭良いなぁ。
病院の前には、迎えを待つ人、人、人。
訂正、黒人、黒人、黒人。
どこ見ても、
ディオンヌ、ウーピー、セサミストリート。それも皆、包帯やら、ギプスやらして暗い顔。
そんななか、日本人観光客のオレひとり。
こわいっちゅーねん、第3弾。
いっせいに視線はオレに釘付け。わら人形になったオレ、待つこと30分。やっとタクが来た。
そして、ホテルに帰って、めでたし、めでたし。か?それで。

 

 

戻る